12月14日に『第170回直木賞(直木三十五賞)』ノミネート作品が発表されました。エンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)の中から、最も優秀な作品に贈られる直木賞には、6作品がノミネートされました。
今回は、第170回直木賞にノミネートされている6作品を紹介していきます。
直木賞ノミネート作品の紹介
加藤シゲアキ『なれのはて』
NEWSのメンバーとしても活動する加藤シゲアキさん(36)は、2012年に『ピンクとグレー』で作家デビュー。2020年にはマッチングアプリを題材にした『オルタネート』が、直木賞の候補作に選ばれていて、今回2度目のノミネートとなりました。
あらすじ
一枚の不思議な「絵」の謎を追い、令和から昭和、大正へ。
日本最後の空襲といわれる秋田・土崎空襲。
戦争が引き起こした家族の亀裂は、現代を生きる人びとにも影を落としていた。
ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになったテレビ局員・守谷京斗(もりや・きょうと)は、異動先で出会った吾妻李久美(あづま・りくみ)から、祖母に譲り受けた作者不明の不思議な絵を使って「たった一枚の展覧会」を企画したいと相談を受ける。しかし、絵の裏には「ISAMU INOMATA」と署名があるだけで画家の素性は一切わからない。二人が謎の画家の正体を探り始めると、秋田のある一族が、暗い水の中に沈めた業に繋がっていた。
1945年8月15日未明の秋田・土崎空襲。
芸術が招いた、意図しない悲劇。
暴走した正義と、取り返しのつかない後悔。
長年秘められてきた真実は、一枚の「絵」のミステリから始まっていた。
戦争、家族、仕事、芸術……すべてを詰め込んだ作家・加藤シゲアキ「第二章」のスタートを彩る集大成的作品。
「死んだら、なにかの熱になれる。すべての生き物のなれのはてだ」
河﨑秋子『ともぐい』
河﨑秋子さん(44)は、2022年に『絞め殺しの樹』が直木賞の候補作に選ばれていて、今回2度目のノミネートとなりました。
あらすじ
己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには
明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。
人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!!
嶋津輝『襷がけの二人』
嶋津 輝さん(54)は、2016年に『姉といもうと』で第96回オール讀物新人賞を受賞しています。その後、2019年に受賞作を収めた短編集『スナック墓場』で単行本デビューを果たしております。直木賞のノミネートは今回が初めてとなりました。
あらすじ
裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。
「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。
「千代。お前、山田の茂一郎君のとこへ行くんでいいね」
親が定めた縁談で、製缶工場を営む山田家に嫁ぐことになった十九歳の千代。
実家よりも裕福な山田家には女中が二人おり、若奥様という立場に。
夫とはいまひとつ上手く関係を築けない千代だったが、
元芸者の女中頭、初衣との間には、仲間のような師弟のような絆が芽生える。
やがて戦火によって離れ離れになった二人だったが、
不思議な縁で、ふたたび巡りあうことに……
幸田文、有吉佐和子の流れを汲む、女の生き方を描いた感動作!
万城目学『八月の御所グラウンド』
万城目学さん(47)は、これまで『鹿男あをによし』や『プリンセス・トヨトミ』などが直木賞候補作に選ばれております。ノミネートは今回で6回目となりました。
あらすじ
京都が生んだ、やさしい奇跡。
ホルモー・シリーズ以来16年ぶり 京都×青春感動作
女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。
京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは――。
今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない
人生の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る傑作2篇
宮内悠介『ラウリ・クースクを探して』
宮内悠介さん(44)は、これまで直木賞に3回、芥川賞には2回候補作に選ばれております。今回が直木賞のノミネートは4回目となりました。
あらすじ
1977年、エストニアに生まれたラウリ・クースク。コンピュータ・プログラミングの稀有な才能があった彼は、ソ連のサイバネティクス研究所で活躍することを目指す。だがソ連は崩壊し……。歴史に翻弄された一人の人物を描き出す、かけがえのない物語。
村木嵐『まいまいつぶろ』
村木嵐さん(56)は、第17回松本清張賞を受賞しデビュー。今回、初めてのノミネートとなりました。
あらすじ
暗愚と疎まれた将軍の、比類なき深謀遠慮に迫る。
口がまわらず、誰にも言葉が届かない。
歩いた後には尿を引きずった跡が残るため、まいまいつぶろ(カタツムリ)と呼ばれ蔑まれた君主がいた。
常に側に控えるのは、ただ一人、彼の言葉を解する何の後ろ盾もない小姓・兵庫。
だが、兵庫の口を経て伝わる声は本当に主のものなのか。
将軍の座は優秀な弟が継ぐべきではないか。
疑義を抱く老中らの企みが、二人を襲う。
麻痺を抱え廃嫡を噂されていた若君は、いかにして将軍になったのか。
第九代将軍・徳川家重を描く落涙必至の傑作歴史小説。
受賞作品の発表はいつ?
2024年1月17日に「第170回芥川賞・直木賞」の受賞作品の発表が都内で行われる予定です。
作品から受賞者が決まります。
今回はノミネートされている2023年の下半期に発表された6作品より、どの作品が直木賞を受賞するのでしょうか?楽しみですね。
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